会社概要
ノーリツ鋼機(7744)は、イメージング事業、医療事業、シニア・ライフ事業、環境事業などを展開している会社です。特にミニラボシステム機器では世界のトップメーカーであり、当社の主力事業でした。しかし、デジカメやスマートフォンなどの普及により市場が大きく縮小したことで業績が悪化。その後は豊富な利益剰余金を元手に事業の多角化を推進しており、2015年1月にはペン先製品で世界シェアの約5割を有するテイボー株式会社を314億円で買収しました。
また、当社は2016年3月期決算からIFRS(国際会計基準)の適用を発表しています。
ノーリツ鋼機の現在の株価は665円で1単元買うのに必要な金額は約6万7千円です。
事業内容
ものづくり分野
グループにおける当該分野の売上高比率は約33パーセント、セグメント利益は約7億円。
写真処理機器がこの分野の主要事業でしたが、今年の1月から新たにテイボーのペン先製品事業などが加わりました。
医療分野
グループにおける当該分野の売上構成比は約23パーセント、セグメント利益は約15.4億円。
医療分野では、予防医療、遠隔医療支援、医療統計データサービス、医療器具・機器の販売、医療機関向けの通信販売など様々な事業を展開しています。
2015年3月期決算では整形外科向けインプラント器具やレセプト・データの調査分析事業が特に好調だったようです。
また、2014年の9月からは人工関節、人工骨の製造販売を行うエム・エム・ティーが新たに加わりました。
シニア・ライフ分野
グループにおける当該分野の売上構成比は約41パーセント、セグメント利益は約1.5億円
この分野では、シニア女性雑誌で購買者数1位の「いきいき」などを出版している出版事業や通信販売事業を展開しています 。
環境分野
グループにおける当該分野の売上構成比は約3パーセント、セグメント損失が約1.6億円。
この分野では、施設向け省エネソリューション事業、エコデマンドシステム事業を展開しています。
その他分野
グループにおける当該分野の売上構成比は約1パーセント、セグメント利益は約2.3億円。
業績ハイライト
売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 一株益 一株配当
2011年3月期 29312 239 -448 -5782 -162 0
2012年3月期 18787 604 -421 -1566 -44 3
2013年3月期 27379 616 952 417 11.7 7
2014年3月期 55084 2967 2806 1324 37.2 8
2015年3月期 54488 2475 2139 1029 28.9 8
2016年3月期予 60000 2700 2800 500 14 8
成長性 80点
当社の業績推移を10年以上前から確認してみると、2009年に売上が大きく落ち込み営業赤字へと転落。翌2010年には業績がさらに悪化して69億円もの営業赤字を計上。しかし、その後は事業構造の転換が功を奏し、業績の回復が鮮明となっている。
そして、2015年1月にはノーリツ鋼機の時価総額をも上回る314億円という金額を投じてテイボーを買収。ちなみにこの買収では260億円分をノンリコースローンによる借り入れで賄っている。
当社にとって今後の成長の鍵を握っているテイボーの業績を確認すると、2012年~2014年までの3年間で売上が約17%増の84.7億円に、営業利益では約80%増の18.1億円へと急成長している。また、IFRS(国際会計基準)に移行したことでのれん償却をする必要がなくなったことも数字上ではポジティブな要素として挙げられる。
逆にネガティブな要素としては、テイボーの業績が悪化した場合に巨額の減損リスクを抱えている点や、ノンリコースローンによるプレミアム金利の負担で短・中期的に利益への実質的貢献が抑制されることなどが挙げられる。
割安性 85点
今期の決算予想から算出した予想PERは約47.6倍と割高に感じられるが、これは今期の中間決算までに写真処理機器事業で約25億円の構造改革費の計上を見込んでいることが大きく影響している(当社は今期からIFRSを適用する為、構造改革費用が営業利益も押し下げる要因となることに注意)。
ちなみに四季報の2017年決算予想を参考としたならば、来期の予想PERは約11倍になる。会社の中期経営目標では、2019年に売上1000億、営業利益100億、純利益70億を目指すとしており、当社の今後の成長性を考慮すれば、現在の株価はかなり割安な水準であると予想。
ただし、配当利回りに関しては約1.2%と現状では低い水準になっている。
財務健全性 65点
利益剰余金が約390億円に対して有利子負債は約455億円。自己資本比率は51.1%。この数字だけ見れば財務はあまり良くないように感じる。しかし、当社の負債の半分以上はテイボーを担保としたノンリコースローンであり、この部分については貸し手の金融機関側がリスクを負っていると考えることも出来る。
また現預金も約220億円所持しており、前期の期末決算時点での流動比率は約201%と安定した数字になっている。
競争優位性 80点
当社は様々な事業を展開しているため、まずは主要事業をそれぞれ簡単に分析してみたい。
・トップシェアだが製品需要の減少が続いている写真処理機器事業。
・ニッチ市場で高シェア・高収益・高成長の三拍子が揃っているテイボーのペン先製品事業。
・買収などで年々利益と利益率を伸ばしている医療事業。
・前期に利益が大きく後退したシニア・ライフ分野。
以上の情報を元に、各事業の今後のグループへの利益貢献度や、大赤字の状態から会社を立て直した経営陣の手腕などを総合的に判断して、ノーリツ鋼機の競争優位性を高いと評価。
考えられるリスクファクター
・当社は2015年の期末決算時点でのれん資産が約416億円と大きく膨れ上がっており、もし買収した会社の業績が悪化した場合には巨額の減損損失を計上する可能性がある。
・当社は海外売上高比率の高いテイボーを新たに買収したことで、為替の円高はこれまで以上に利益を押し下げる要因になると予想。
【注意事項】 銘柄分析に関する記述の正確性について保障はできませんのでご了承ください。また銘柄への採点は筆者の主観に基づいて行っております。投資する際はくれぐれもご自身の判断と責任でお願いします。
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